小さな支援を重ねていつか社会を変えるPSWになりたい画像
卒業生インタビュー
井上 里菜 さん
山梨県内精神科病院勤務 精神保健福祉士

2014年度 福祉心理学科卒業生
山梨県立白根高等学校出身
小さな支援を重ねていつか社会を変えるPSWになりたい

 甲府盆地の郊外、南アルプスをはじめ美しい山々に抱かれた精神科専門の医療機関。井上さんはここで、精神保健福祉士(PSW)として主に療養病棟の患者さんと家族に対し、入院中の生活や退院後の自立に向けた準備などについて、あらゆる相談に応じる仕事をしている。元々は児童や知的障害者の支援が目標だったが、大学の講義で先生が説いた『本来地域の一員として生きていくべき人を支援するのがPSW。困難があっても孤立を恐れるな』という理念に感銘を受け、PSWを目指したという。実際に働き始めて4カ月、「退院して自宅や施設に移ろうとする患者さんが、気持ちに身体がついていかず苦しむのを見てどう支援すべきか悩んだり、逆に余計なことをしたかと後悔したり…毎日が葛藤です」と語る。
一般の疾患での入院と違い、長期入院となるケースも多い精神科。本来なら退院できる患者さんが、慣れた環境を離れたがられないこともある。「どうすれば自宅や施設へ移れるかと考えていたとき、医師から『退院することも大事だけど、退院するまでの関わりも大事だよ』と言われて、そうだなと思ったんです。大学時代にグループワークで同級生とディスカッションする中で、ひとつの事柄にもいろいろな視点があることを実感しましたが、そのときに学んだ姿勢が今も役立っています」。一人暮らしの可否や活動可能な生活範囲など、患者さんの今後の暮らしを考える上で、看護師や作業療法士など他業種のスタッフとも連携し、情報共有することが必要になる。少人数で一人ひとりに発言の機会があり、お互いに耳を傾けあった大学での学びの体験も、日々の業務を助ける力となっていることだろう。
職場で井上さんの指導にあたる先輩PSWの深澤礼子さんは「彼女は“いい感覚”を持ってるなと思います。長期入院で、ここにいるのが当たり前になっている患者さんに『この方、退院できますか?』と注意を向けてくれる。長年働いていると忘れがちなことを思い出させてくれるんです」と笑顔を向ける。「病気で普通の生活を奪われてしまった人に対して、小さなアプローチでも積み重ねていけば、社会の一端を変えられるかもしれない。そういう仕事だと思って働いています」。頼もしい先輩の言葉に、井上さんも大きく頷いた。

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