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糖尿病の下痢や便秘の発症機序解明に新展開!

2020年9月1日

-最先端の電子顕微鏡技術で腸管神経細胞の微細構造の3D立体画像構築に成功-

概要
 健康科学大学作業療法学科 志茂聡准教授、齊藤成講師(藤田医科大学医学部解剖学講座II)、生友聖子助教(東京医療学院大学保健医療学部)村松憲准教授(杏林大学保健学部理学療法学科)および大野伸彦教授(自治医科大学医学部解剖学講座、生理学研究所超微形態研究部門)らの研究グループは、肥満糖尿病モデルマウスを用いて、リンゴの樹皮に多く含まれるポリフェノール(フロリジンPhlorizin)を投与することにより、腸の蠕動運動に関わる神経伝達物質が増加し、神経軸索の3D超微形態も回復することを世界で初めて明らかにしました。

本研究成果は、英国科学誌Natureの姉妹誌「Scientific Reports (サイエンティフィック レポーツ)」に掲載されました(2020年 7月 23日、UK時間 午前10時)。

■今後の展望と課題
 本研究成果は、糖尿病における下痢や便秘などの自律神経障害の新規予防・治療薬としてのフロリジンの可能性を示すもので、糖尿病での合併症の効果的予防法や新規治療戦略の開発に多大な貢献が期待されます。今後は他の糖尿病治療薬との比較とともに、消化管運動の電気生理学的解析を加えることで、新たな糖尿病性自律神経障害の予防・治療法構築に結び付けていきたいと考えています。

【研究助成】
 
本研究は次の助成を受けて行われました:文部科学省科学研究費補助金[18K17945(志茂)、15K21474(志茂)]、健康科学大学(志茂)。生理学研究所計画共同研究(志茂)

【論文情報】
・タイトル:Sodium-glucose co-transporter (SGLT) inhibitor restores lost axonal varicosities  
      of the myenteric plexus in a mouse model of high-fat diet-induced obesity

・掲載雑誌(総合学術誌): Scientific Reports, https://www.nature.com/articles/s41598-020-69256-9

研究成果については山梨日日新聞(2020年7月29日付)に掲載されました。