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慢性痛は職場運動プログラムによる心理的ストレス軽減効果を弱める可能性 ― 医療従事者を対象とした12週間パイロット研究 ―

2026年7月8日

慢性痛は職場運動プログラムによる心理的ストレス軽減効果を弱める可能性

― 医療従事者を対象とした12週間パイロット研究 ―

 

 

【概要】

 健康科学大学 リハビリテーション学科の坂本祐太講師らの研究グループは、慢性痛を有する医療従事者と慢性痛を有しない医療従事者を対象に、12週間の職場運動プログラムが心理的職業性ストレスに与える影響を検討しました。

本研究では、運動習慣のない病院職員を対象に、週2回・20分/回の有酸素運動、筋力運動、ストレッチを組み合わせた運動プログラムを実施しました。その結果、12週間後には参加者全体で心理的職業性ストレスの低下が認められました。しかし、慢性痛を有する参加者では、慢性痛を有しない参加者と比較してストレス軽減効果が小さいことが示されました(図1)。特に、痛みに対する破局的思考の「拡大視」と「反すう」、さらに不安が、職業性ストレスと関連していました。

この結果は、慢性痛を有する労働者に対しては、単に運動を促すだけでなく、痛みに関する認知や不安に対する心理的支援を組み合わせることが、職場のメンタルヘルス対策として重要である可能性を示しています。

本研究成果は、産業・職場における健康行動を扱う国際学術誌であるJournal of Workplace Behavioral Healthにオンライン掲載されました(2026年6月)。

 

【研究の意義】

本研究の成果は、職場における健康支援において、運動介入だけでは十分でない場合があることを示しています。特に慢性痛を有する労働者では、痛みそのものの強さよりも、痛みをどのように受け止めているか、不安をどの程度抱えているかといった心理的要因が、運動によるストレス軽減効果に影響する可能性があります。そのため、慢性痛を有する労働者への職場支援では、短時間で実施可能な運動プログラムに加えて、痛みに対する認知の修正、痛み教育、不安への支援などを組み合わせることが有効であると考えられます。

なお、本研究は少数例を対象としたパイロット研究であり、今後はより大規模で多様な職種を対象とした検証が必要です。

 

【研究助成】

 本研究は、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団による研究助成を受けて実施されました(2016年)。

 

【論文情報】

著者:Sakamoto, Y., Amari, T., Oka, T., & Shimo, S.

タイトル: Exercise and workforce wellbeing: A workplace pilot study among healthcare professionals with and without chronic pain.

掲載雑誌: Journal of Workplace Behavioral Health (産業・職場における健康行動)

オンライン掲載: 2026年6月

出版社: Taylor & Francis

URL: https://doi.org/10.1080/15555240.2026.2690134

 

【問い合わせ先】

健康科学大学 総務部 総務課
TEL: 0555-83-5200
FAX: 0555-83-5100