病院でも、自宅でも。「人生」と「暮らし」に寄り添える作業療法士をめざして。画像
卒業生インタビュー
原 沙織 さん
神奈川県内リハビリテーション病院 作業療法士

2009年度作業療法学科卒業生
日本大学三島高等学校卒業生
病院でも、自宅でも。「人生」と「暮らし」に寄り添える作業療法士をめざして。

 日本有数の保養地・箱根にある、箱根リハビリテーション病院。原さんはそこで作業療法士(OT)として、患者さんのリハビリに関わる。身体に麻痺がある人の機能訓練など〝体〞のリハビリだけでなく、認知症・老人精神病・子供の発達障害など〝心〞に関する分野のリハビリにも関わるのが、OTならではの活躍フィールドだ。「実際に担当している患者さんには認知症の方もいて、塗り絵や折り紙などの作業活動でリハビリを進めています。患者さんがつくってくれたきれいな作品は、院内の壁に飾ってあるんですよ」。 にこやかに語る原さんがOTの道を選んだのは、学生時代に読んだ〝1リットルの涙〞という小説がきっかけだった。「物語の主人公は脊髄小脳変性症を患う女性と彼女を支えるOT。患者さんの人生に向き合うプロの姿に感動したんです。調べるうち、OTは患者さんの〝心〞と〝体〞の両面に関われることを知り、この道に進むことを決意しました」。
 社会に出て、今年で7年目。新人時代に初めて担当した患者さんは今でも鮮明に覚えている。「草野球が大好きなスポーツマンでしたが、左手が麻痺してしまって。『もう一度キャッチボールをしたい』と強い思いを持たれていました。その思いに何とか応えたい!と本を読みあさったり、先輩にアドバイスを求めたり、とにかく無我夢中でしたね。そしてリハビリ中のある日、動かなかった手首が目の前ですっと動いたんです。それを見て、自然と涙が溢れてきて。その時の感動は、ずっと私のモチベーションの根底にあると思います」。
 箱根リハビリテーション病院は、急性期医療を受けられた後の患者さんに対して在宅復帰支援を行う回復期及び療養型であることから、後天的に障がいを抱えることになった方も多い。そのため、原さんはOTを「患者さんの〝第二の人生〞を背負う、とても責任のある仕事」だと考える。自身の仕事においても、後輩の育成においても「一人ひとりの患者さんに誠実であること、回復の限界を作業療法士が決めないこと」を常に意識しているという。「キャリアを重ねると経験や知識だけで判断してしまい、患者さんの気持ちを置いてきぼりにして限界を無意識に決めてしまうことも……。そうではなく、患者さんの希望ありきで、さまざまな方法を試行錯誤し続けられるOTになりたいですね」。
 限界を決めない、というスタイルは原さん自身のキャリアプランにも大きく影響している。勉強会にも時折参加し、昨年はケアマネージャーの資格を取得。「病院内という限られた範囲でのサポートだけでなく、もっと患者さんの〝暮らし〞にフォーカスしたリハビリを考えたいんです。単に運動機能を回復させるだけでなく、例えば『料理をしたい』とか『バスに乗って出かけたい』などをゴールにした訓練など。その方が、リハビリが患者さんにとって意味を持つものになるはずです」。
 訪問リハビリも提供している同院。今後は在宅でのサポートにもチャレンジしていきたいと語る原さんの目は、OTがより柔軟な形で活躍する未来へと向けられている。

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